Zabbix DBが遅いとき：MySQLパーティションで解決する実務構築ガイド (第1編)

— history・trends 分割ベースのチューニング

このドキュメントは、Zabbix 7.4環境でMySQLパーティション構造を適用し、Zabbixパッケージのインストールおよびスキーマロードまでの手順をまとめた実務向けガイドである。

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1) 前提および範囲

• OS：Ubuntu 22.04
• Zabbix：7.4（運用でEOLに敏感な場合は7.0 LTS推奨）
• DB：MySQL 8.x
• Web：Apache + zabbix-frontend-php
• 目的：インストールとスキーマインポートまで。パーティション構築は次編から扱う。

運用環境でセキュリティ認証（コンプライアンス）を受ける必要がある場合、サポート期間が短いリリースは避けること。EOLに敏感な組織では7.0 LTSで固定するのが安全。

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2) Zabbixリポジトリの追加

リポジトリ追加

# wget https://repo.zabbix.com/zabbix/7.4/release/ubuntu/pool/main/z/zabbix-release/zabbix-release_latest_7.4+ubuntu22.04_all.deb
# dpkg -i zabbix-release_latest_7.4+ubuntu22.04_all.deb
# apt update

チェックポイント

• /etc/apt/sources.list.d/zabbix.list が生成されていることを確認
• apt update 時に zabbix.com 関連のインデックスが取得されることを確認

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3) Zabbixサーバー／フロントエンド／エージェントのインストール

サーバー／フロントエンド／エージェントのインストール

# apt install -y zabbix-server-mysql zabbix-frontend-php zabbix-apache-conf zabbix-sql-scripts zabbix-agent2

Zabbix Agent2プラグイン（必要なものだけ選択してインストール）

# apt install -y zabbix-agent2-plugin-mongodb zabbix-agent2-plugin-mssql zabbix-agent2-plugin-postgresql

チェックポイント

• /etc/zabbix/ 配下に設定ファイルが生成されていること（特に zabbix_server.conf）
• Apacheのモジュール／設定が同時にインストールされ、/etc/apache2/conf-enabled/zabbix.conf がリンクされていることを確認

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4) MySQLのインストール

# apt install -y mysql-server

チェックポイント

• systemctl status mysql → active (running)
• Ubuntu 22.04のデフォルト設定では auth_socket 認証が有効な場合がある
  　→ OSログインユーザーがrootでなければMySQLに接続できない点に注意

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5) DB初期化（DB／ユーザー／権限／関数設定）

# MySQLに接続
mysql -uroot -p
# （パスワード入力）: 初期rootパスワードは設定されていないため、そのままEnter

DB作成とユーザー設定

mysql> create database zabbix character set utf8mb4 collate utf8mb4_bin;
mysql> create user zabbix@localhost identified by 'password';   -- 実際のパスワードに変更
mysql> grant all privileges on zabbix.* to zabbix@localhost;
mysql> GRANT FILE ON *.* TO 'zabbix'@'localhost';
        => パーティショニングのための権限付与

# 注意: パーティション自動化スクリプトは TCP（127.0.0.1）で接続するため、同じ権限を持つ 'zabbix'@'127.0.0.1' アカウントも必ず作成しておくこと。

関数信頼設定（一時的）

mysql> set global log_bin_trust_function_creators = 1;
mysql> quit

説明
log_bin_trust_function_creators=1 を一時的に有効化する。
理由：Zabbixスキーマには get_host_agent() などの STORED FUNCTION が含まれている。
バイナリログが有効な環境では、SUPER権限を持たないユーザーによるFUNCTION作成はブロックされるため、スキーマインポート時に必要となる。

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6) Zabbixスキーマのインポート

スキーマインポート

# zcat /usr/share/zabbix/sql-scripts/mysql/server.sql.gz | mysql --default-character-set=utf8mb4 -uzabbix -p zabbix

チェックポイント

• エラーなしで終了すること
• mysql -uzabbix -p zabbix -e "show tables;" で history・trends などの主要テーブルが作成されていることを確認

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7) 関数信頼設定の戻し

# mysql -uroot -p
# （パスワード入力）
mysql> set global log_bin_trust_function_creators = 0;
mysql> quit

説明（セキュリティ）
FUNCTION作成の信頼オプションは一時的にのみ使用する。
スキーマ作成後はすぐに元に戻すこと。

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8) ZabbixサーバーのDB接続設定

# vi /etc/zabbix/zabbix_server.conf

以下の項目にDB情報を設定

DBName=zabbix      （デフォルト）
DBUser=zabbix      （デフォルト）
DBPassword=実際のパスワードを入力

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9) サービス起動

# systemctl restart zabbix-server zabbix-agent2 apache2
# systemctl enable zabbix-server zabbix-agent2 apache2

チェックポイント

• systemctl status zabbix-server → active (running)
• Web UIアクセス: http://<サーバーIP>/zabbix

補足
タイムゾーンは、Web(UI)表示用（例: KSTなど）とDBパーティション境界（UTC epoch）で分離されている。
パーティション計算は常にUTC基準で行う。UIではローカルタイムゾーンとして表示されるだけである。
（詳細なパーティション／自動化は第3～4編で解説）

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10) 次回予告

• 第2編：ディスク分離（AppArmor・権限・innodb_directories）＋ General Tablespace作成
• 第3編：file-per-tableへの切り替え＋パーティション初期構成（History＝日単位／epoch、Trends＝月単位）
• 第4編：自動化スクリプト＋cron＋保持期間（DAYS_KEEP／MONTHS_KEEP）
• 第5編：Housekeeper無効化＋Zabbixキャッシュ／プロセス＋MySQL InnoDBチューニング

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トラブルシューティングチェックポイント

• スキーマインポート失敗時：log_bin_trust_function_creators 状態を確認し、再実行
• 認証エラー時：DBユーザー／パスワード、mysql_native_password vs auth_socket 設定を確認
• サービス起動失敗時：
  　/var/log/zabbix/zabbix_server.log および /var/log/apache2/error.log を確認

🛠 마지막 수정일: 2025.12.11