Zabbixサーバー指標をGrafanaで可視化する(第4編) — 変数を利用した動的ダッシュボード構築ガイド

📘 概要

第3編で CPU・メモリ・ディスクなどの静的ダッシュボードを完成させたら、
今回は Grafana の 変数(Variables) を使って、
ダッシュボードを “探索型の監視画面” に拡張する方法を解説する。

変数を活用すると、次のような操作が 1 つの画面で可能になる。

  • Zabbix グループごとのサーバーをフィルタリング
  • 複数ホストの中から比較対象を選択
  • CPU・Memory・I/O などのアイテムを即時切り替え

1. 変数(Variable)概要

Grafana の変数は、ダッシュボード内で動的に値をクエリへ渡すための仕組みだ。
Zabbix プラグインは Group / Host / Item などのクエリタイプをサポートしており、
これを利用することで 同じパネルを複数ホストや複数指標に再利用できる。

つまり 「CPU 使用率パネル 1 つで全サーバーを見る」
といった構造を実現できる。


2. Group 変数の設定

2.1 設定パス

Dashboard → Settings(⚙️) → Variables → Add variable

※ 右上に Settings が表示されない場合:Edit をクリック

2.2 主な項目

項目設定値説明
NameGroup変数名
HideNothing画面上に変数名を表示
Query TypeGroupZabbix のグループ一覧を取得
Group : Regex Filter/.example./iexample グループのみ抽出

💡 Multi-value / Include All option
例では Group が 1 つのため使用しない。
詳細説明は後述の Host 変数で説明。

2.3 保存

Save dashboard
→ ダッシュボード上部に Group ドロップダウンが表示されれば成功。


3. Host 変数の設定

3.1 新規変数追加

Dashboard Settings → Variables → New variable

3.2 設定項目

項目設定値説明
NameHost変数名
Query TypeHost選択した Group に属するホストを取得
Group$Group前段で作成した Group 変数を参照
Host : Regex filter/^example/特定ホストのフィルタ
Multi-value複数ホスト選択を許可
Include All option“All” 項目を追加

⚙️ Multi-value はサーバーが 3 台以上のケースで特に有用
例:example server が 3 台以上ある場合、
「全体(All)」ではなく 01 + 02 だけ選んで比較 といった操作が可能。


4. Item 変数の設定

4.1 新規変数追加

Dashboard Settings → Variables → New variable

4.2 設定項目

項目設定値説明
NameCPU_performance_overview変数名(Label を指定すれば Label が表示される)
Query TypeItemZabbix アイテム一覧を取得
Group$GroupGroup 変数を参照
Host$HostHost 変数を参照
Item : Regex filter/^CPU (utilization|user time|system time|iowait time|idle time)$/CPU 指標を抽出
Multi-value複数指標を同時に表示可能
Include All option“All” 選択肢を追加

5. パネルへの変数適用

既存の CPU パネルに変数を紐づける。

パネル選択 → Edit

  • Query Type: Metrics
  • Group → $Group
  • Host → $Host
  • Item → $CPU_performance_overview

既存クエリを削除 → Save dashboard

💡 この設定により、
1 つのパネルで Group / Host / Item を即時切り替え可能 となる。


6. 動的ダッシュボードのメリット

項目静的ダッシュボード動的ダッシュボード(Variables)
管理範囲特定サーバー専用多数サーバー・グループ共通
拡張性パネル複製が必要変数追加だけで再利用
運用効率サーバー追加時に修正要即時反映
可読性限定的フィルタ操作で探索しやすい

結果として、変数ベースの構成は
パネル数を減らし、メンテナンスを単純化しつつ、運用効率を最大化 する。


7. 保存・検証

Save dashboard
→ 上部の Group / Host / Item ドロップダウンを切り替え
→ グラフが即座に反応すれば正常動作


8. 実務向け Tips

  • 変数名は英語、Label は日本語にすると見栄えが良い
  • Group → Host → Item の階層構造を必ず守る
  • Multi-value を使うと複数サーバー比較ダッシュボードが簡単に作れる

🛠 마지막 수정일: 2025.11.14

💡 お困りですか?
Zabbix、Kubernetes、各種オープンソースインフラの構築・運用・最適化・障害解析が必要であれば、いつでもご連絡ください。

📧 メール: jikimy75@gmail.com
💼 サービス: 導入支援 | 性能チューニング | 障害解析コンサルティング